【分類 サケ科イワナ属】
イワナ(岩魚、鮇)は、サケ目 サケ科 イワナ属の魚。分類上は、イワナ属のうちの1種にイワナという和名がつけられているが、近縁種のオショロコマも含めて広義のイワナとして扱われることが多い。ここではイワナ、オショロコマを含むイワナ属の魚を総称して、イワナ類と呼ぶ。
イワナの生態
肉食性で、動物性プランクトン、水棲昆虫、他の魚、河畔樹木から落下する虫、その他の水底の小動物などを食べる。産卵期は10月~1月頃で産卵床は本流に流入する支流が多い。2年魚以降で18cm~22cmを超えるとオス・メス共に性的に成熟し、数年にわたって繁殖行動を行なう。 受精卵は水温10℃で50日程度で孵化する。寿命は6年程度。
日本のイワナ類のほとんどが一生を淡水で過ごす魚で、河川の最上流の冷水域などに生息する場合が多い。多くの種類が食用とされ、渓流釣りの対象魚としても人気がある。イワナ属には、世界で30数種が知られているが、その多くがスポーツフィッシングの対象魚として人気がある。
現在の日本のイワナ類は、生息する地域、河川によって、形態が少しずつ異なる地域変異があり、大きくいくつかの亜種に分けられている。イワナの亜種には、アメマス(エゾイワナ)、ニッコウイワナ、ヤマトイワナ(およびその地方変異であるキリクチ)、ゴギがあり、オショロコマの日本産亜種には、オショロコマとミヤベイワナがある。なお、これらの亜種、地域変異の個体群は、かつてはすべてが別種であるとして扱われたこともあるほど、その形態的な特徴には著しい相違がある。日本産のイワナ類がこのように大きな変異を持っている理由として、イワナ類の生息至適水温と過去の地球の気候の変化が挙げられる。
混血・交雑イワナ
イワナ系、オショロコマ系以外にも、日本に人為的にカワマス、レイクトラウトなどが移入され、一部地域で外来種として定着している。また、イワナ類の種間、あるいはヤマメなどとは、自然状態で交雑が行われており、雑種が生息している地域もある。特に外来種のカワマスとは容易に交雑し、雑種一代目は成長はよいが繁殖力が落ちるため、純粋なイワナが滅びる可能性が懸念される。 ヤマメと同様現在一般に各地で見られるイワナは、その多くが遊漁(釣り)目的に養魚繁殖魚を放流したものであり、これがその地域に本来生息していた個体と混血し、純粋な地域型個体が残っている河川はかなり少ないと考えられている。
イワナの料理
旬は5~6月から夏にかけて。塩焼きや唐揚げで食べることが多く、淡白な味の白身はヤマメと並び賞される。また焼いた岩魚に熱く燗をつけた日本酒を注いだものは骨酒と呼ばれ、野趣あふれる美味である。